キャンプ場でやることを増やさない|コーヒー、本、何もしない時間

hanapapa

キャンプに行くと、つい「何をしようか」と考えてしまいます。

せっかく来たのだから、いつもと違うことをしたい。
外でごはんを作って、景色のいい場所を歩いて、道具もいろいろ使ってみたい。
そう思うのは自然なことだし、そういう楽しみ方ももちろんいいと思います。

でも、自分にとって心地よかったのは、やることを増やした日ではなく、むしろ減らした日でした。

コーヒーを淹れる。
本を一冊持っていく。
あとは、何もしない時間をそのまま残しておく。

それだけのことなのに、キャンプ場で過ごす時間の質はずいぶん変わる気がします。
外で過ごす時間を楽しみたいと思っていたはずなのに、気づけば何かをこなすことのほうに意識が向いてしまう。
そんな感覚から少し離れられたのは、やることを増やさないようにしてからでした。

せっかく来たのだから、何かしないともったいないと思っていた

最初のころは、キャンプに行くならなるべくいろいろやったほうがいいと思っていました。

あれも試したい。
これも持っていきたい。
せっかくだから、普段はしないことをたくさん詰め込みたい。

でも、そうやって予定や持ち物を増やしていくと、現地でも自然と忙しくなっていきます。
設営をして、火を使って、片づけをして、次は何をするか考える。
キャンプに来ているはずなのに、気持ちはずっと次のことへ向いたままになります。

もちろん、手を動かす時間が楽しい日もあります。
ただ、自分がキャンプに求めていたものは、たぶんそれだけではありませんでした。

忙しい毎日の延長のように、外でもずっと何かをこなしていたら、せっかくの静けさに気づきにくくなってしまう。
それよりも、自分の感覚が少しゆるんでいくような時間のほうが、今の自分には必要だったのだと思います。

やることが増えるほど、景色をちゃんと見られなくなる

キャンプ場にいると、風の音や木の揺れ方、日が落ちていく速さみたいなものが、思っている以上にはっきり感じられます。

でも、やることが多いと、その変化に気づく余白がなくなります。

次は何をしようか。
忘れていることはないか。
片づけの段取りはどうするか。
火加減は大丈夫か。
そんなふうに頭の中が動き続けていると、目の前に景色があっても、どこか通り過ぎるように見てしまいます。

それは少し、日常に似ています。
毎日が忙しいと、季節が変わることにもなかなか気づけなくなる。
空の色や風のにおいに気づく前に、一日が終わってしまう。

キャンプ場では、そういう感覚を少し取り戻したいと思っています。
だから最近は、あえて何もしない時間が残るように過ごすことを意識するようになりました。

やることが少ないと、最初は手持ち無沙汰に感じることもあります。
でも、その空白があるからこそ、外の時間が自分の中にゆっくり入ってくる気がします。

コーヒーは、何かを始めるためではなく、立ち止まるためのきっかけになる

キャンプ場で飲むコーヒーが好きです。

特別に詳しいわけではないし、道具に強いこだわりがあるわけでもありません。
それでも、外でお湯を沸かして、ゆっくり淹れて、湯気の立つカップを手に持つ時間には、ちゃんと意味があるように感じます。

コーヒーを淹れるときは、少しだけ手順があります。
お湯を沸かす。
準備をする。
香りを感じる。
注いで待つ。
その一つひとつが、急がなくていい動きです。

何かを達成するための作業というより、気持ちを落ち着かせるための小さな手順に近い。
忙しい日常の中では、手を止めることより、先へ進めることのほうが優先されがちです。
でもコーヒーを淹れている時間だけは、少しだけ速度が落ちます。

それがたぶん、自分にとっての大きな役割なのだと思います。

キャンプ場でのコーヒーは、何かを始めるためのスイッチというより、いったん立ち止まるためのきっかけです。
今日をうまく過ごそうと気負うのではなく、今ここで少し落ち着こうと思えること。
それだけで、外で過ごす時間の質が変わってくる気がします。

本は、読み切るためではなく、そばに置いておくために持っていく

本も、キャンプに行くときにはよく持っていきます。

でも、毎回たくさん読むわけではありません。
数ページだけ読むこともあるし、開かないまま終わることもあります。

それでも、本を持っていくのが好きです。

たぶん、本を読むことそのものだけではなく、「本を読めるくらい静かな時間を持ちたい」と思っているからなのだと思います。
スマホを見るよりも、本を開けるほうが、自分にとっては少しやさしい時間の使い方に感じられます。

もちろん、実際には本を読まずに景色を見ている時間のほうが長いこともあります。
それでもいいと思っています。

読み切ることが目的ではなく、急がずに過ごせる選択肢として本がそばにあること。
そのこと自体に意味がある気がします。

日常では、空いた時間があると、ついすぐに何かで埋めたくなります。
連絡を返したり、情報を見たり、手短に終わるものを選びがちです。
でもキャンプ場で本を持っていると、そういう反射的な動きから少し距離が取れます。

たくさん読めなくてもいい。
途中まででもいい。
読まずに終わってもいい。
そのくらいの余白ごと持っていけるのが、自分にはちょうどいい気がしています。

何もしない時間は、空白ではなく、ようやく戻ってきた余白だった

いちばん難しいのは、たぶん「何もしない時間」をそのまま受け取ることです。

何もしないでいると、最初は少し落ち着かないことがあります。
このままでいいのかと思ったり、何かひとつくらいしたほうがいい気がしたりする。
せっかく時間があるのだから、有意義に使わないともったいない、という感覚がどこかに残っています。

でも、しばらく座っていると、その落ち着かなさが少しずつ薄れていきます。

風が吹いていることに気づく。
鳥の声が聞こえる。
隣のサイトの話し声が遠くに混ざる。
日が少し傾いて、影の形が変わる。
自分が思っていたより疲れていたことにも、そういうときにやっと気づいたりします。

何もしない時間は、何もない時間ではありませんでした。
むしろ、普段の生活で押し流されていた感覚が、少しずつ戻ってくる時間なのだと思います。

何かを考えなくてもいい。
何かの意味を急いで見つけなくてもいい。
ただ座っているだけでいい。
そういう時間は、忙しい毎日の中では意外と持ちにくいものです。

だからこそ、キャンプ場ではその時間を減らしたくないと思っています。

やることを増やさないほうが、自分のペースが見えてくる

キャンプ場でやることを増やさないようにすると、不思議と自分のペースが見えやすくなります。

お腹が空いたら食べる。
コーヒーを飲みたくなったら淹れる。
少し歩きたくなったら歩く。
眠ければ横になる。
寒ければ上着を着る。

当たり前のことのようですが、普段はこういう感覚より先に、予定や役割のほうが動いていることが多い気がします。
時間になったから。
今のうちに済ませたいから。
あとで困らないように。
そうやって先回りしながら過ごしていると、自分が本当はどうしたいのかが見えにくくなることがあります。

キャンプ場では、少なくともひとりでいる時間なら、その順番を少し戻すことができます。
やることを減らしておくと、体や気分の小さな変化に合わせて過ごしやすい。
それが、自分にとってはとても大きいことでした。

外で過ごす時間のよさは、特別な体験だけにあるわけではなくて、自分の感覚の速さにちゃんと戻れるところにもあるのだと思います。

「足りない」くらいで終わる日が、また行きたくなる

キャンプの日を、全部きれいに満たそうとしないほうが、終わったあとに余韻が残ります。

あれもこれもやり切った、という満足感ももちろんあります。
でも、自分の場合は、少し物足りないくらいのほうが気持ちよく終われることが多い気がします。

もう少し座っていたかった。
もう一杯コーヒーを飲んでもよかったかもしれない。
本の続きをまた今度読もう。
そのくらいの余白があるほうが、次の時間につながっていく感じがあります。

全部やり切ろうとすると、その日だけで閉じてしまう。
でも、やることを増やさずに過ごすと、「またこういう時間を持ちたい」と素直に思える。
おふたいむは、たぶんそういう続き方のほうが合っているのだと思います。

特別な一日をつくるというより、また戻ってこられる時間にしておくこと。
そのためにも、キャンプ場でやることを増やしすぎないことは、自分にとって大事な感覚になっています。

おわりに

キャンプ場では、何かをたくさんしなくてもいいのだと思っています。

コーヒーを淹れること。
本を一冊そばに置くこと。
何もしない時間を、そのまま残しておくこと。

そのくらいで、十分でした。

むしろ、それ以上にやることを増やしてしまうと、せっかく外に来たのに、また何かをこなす感覚に戻ってしまう気がします。
忙しい毎日の中で足りていなかったのは、時間の量だけではなく、何もしなくても落ち着いていられる余白でした。

キャンプ場でやることを増やさない。
それは手を抜くことではなく、自分にとって本当に必要な過ごし方を守ることなのかもしれません。

コーヒーと、本と、何もしない時間。
今の自分には、そのくらいの静けさがちょうどいいと思っています。

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はなぱぱ
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娘大好き父
忙しい毎日の中で、 いつの間にか「立ち止まる時間」がなくなっていました。 このブログは、 ロードバイクやキャンプをきっかけに、 自分のペースを取り戻す過程を記録する場所です。 完成形ではなく、 試しながら整えていく、その途中を書いています。
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