ソロキャンプの持ち物を最小限にする考え方|引き算のパッキング術
ソロキャンプに行こうと決めたとき、最初にぶつかったのは「何を持っていくか」じゃなくて、「何を持っていかないか」だった。
僕は普段、娘と過ごす時間や仕事の合間を縫ってキャンプに出かける。だから準備に何時間もかけられないし、車にパンパンに荷物を詰め込んで出発する余裕もない。そもそも、そこまでして出かけるキャンプって、本当に「おふたいむ」と呼べるんだろうか。
この記事では、僕がたどり着いた「引き算のパッキング」という考え方と、実際に持っていくものを紹介したい。豪華なキャンプをするためのリストではなく、静かに外で過ごすための最小限の道具の話。
「あれもこれも」の時期は誰にでもある
ソロキャンプを始めたばかりの頃、僕の荷物はとにかく多かった。
焚き火台に加えて予備の火起こしセット。ランタンは2つ。調理器具も「万が一」を考えてフライパンと鍋の両方。椅子もテーブルも、レビューで評判のいいものを片っ端から揃えた。
結果どうなったかというと、設営に1時間以上かかり、撤収にも同じくらいかかり、肝心の「ぼーっとする時間」がほとんど残らなかった。
帰りの車の中で、なんとも言えない疲労感があった。楽しかったはずなのに、なんだか仕事のあとみたいだなと思った。
そのとき気づいた。僕がキャンプに求めているのは「充実した体験」じゃなくて、「何もしなくていい時間」なんだと。
引き算のパッキングとは何か
引き算のパッキングというのは、持ち物リストを作るときに「何を足すか」ではなく「何を削れるか」から考える方法だ。
やり方はシンプルで、まず前回のキャンプで使わなかったものを思い出す。使わなかったものは、次から持っていかない。それだけ。
でもこれが意外と難しい。「今回はたまたま使わなかっただけで、次は使うかもしれない」と思ってしまうからだ。
僕が自分に課したルールは一つだけ。「2回連続で使わなかったら、次からは外す」。このルールを決めてから、荷物は一気に減っていった。
「あったら便利」は「なくても困らない」
引き算のパッキングで最初に消えていくのは、「あったら便利」カテゴリの道具たち。
たとえば折りたたみテーブル。地面にシートを広げれば十分だった。ランタンスタンドも、木の枝に引っ掛ければ事足りた。コーヒーミルも手放した。挽きたてのコーヒーは確かにおいしい。でもドリップバッグでも、外で飲めば十分においしい。
「便利」を一つ手放すたびに、バッグが軽くなっていく。その軽さが、出発前の気持ちまで軽くしてくれる。
僕が実際に持っていくもの
今、僕がソロキャンプに持っていく道具はだいたい決まっている。それぞれに「なぜこれなのか」という理由があるので、道具の紹介というより、選んだ経緯を書いてみたい。
テント:設営5分以内が条件
僕が使っているのは、ワンポールの小さなテント。選んだ理由は「設営が速いこと」の一点だけだった。
以前は広い前室のある2人用テントを使っていたけど、設営に時間がかかるのがどうしてもストレスだった。到着してすぐに「やること」が始まるのは、おふたいむとは言えない。
ワンポールテントなら、ペグを打ってポールを立てるだけ。慣れれば5分かからない。その5分の短さが、キャンプ全体の気持ちを変えてくれる。
シュラフとマット:睡眠だけは妥協しない
荷物を減らす中で、唯一妥協しなかったのが寝具だった。
キャンプで眠れないと、翌日の仕事にも娘との時間にも影響が出る。だからシュラフは少しかさばっても暖かいものを選んでいるし、マットも厚みのあるインフレータブルを使っている。
引き算のパッキングは「全部を削る」ことじゃない。「自分にとって本当に大事なもの」を見極めて、そこにはちゃんとお金も重量もかける。それ以外を軽くするから、大事なものにしっかり投資できる。
焚き火台:小さいほうが、火と近くなれる
大きな焚き火台から、手のひらサイズのコンパクトなものに変えた。
最初は物足りなかった。でも使っていくうちに、小さな火をじっと見つめる時間がむしろ心地よくなった。薪を割る量も少なくて済むし、片付けも楽。火が小さいぶん、自分と火の距離が近くなる感覚がある。
キャンプの焚き火に豪快さは必要なかった。静かに燃える小さな火があれば、それで十分だった。
クッカーとバーナー:料理は一品だけ
持っていくクッカーは一つだけ。バーナーも小型のシングルバーナーが一つ。
キャンプ飯を何品も作っていた時期もあったけど、調理に時間をかけるほど「おふたいむ」は減っていく。今はお湯を沸かしてカップ麺を食べるか、スーパーで買ったおにぎりと味噌汁くらい。
それで十分おいしい。外の空気が最高の調味料だから。
パッキングが楽だと「行こう」と思える
忙しい毎日を送っていると、キャンプに行くハードルは「お金」でも「場所」でもなく、「準備のめんどくささ」だったりする。
金曜の夜、娘が寝たあとに「明日ちょっと行ってこようかな」と思えるのは、荷物が少ないからだ。バッグ一つにまとまっていて、車に積むのも5分。そのくらいの気軽さがないと、忙しいパパのソロキャンプは続かない。
引き算のパッキングは、キャンプのための技術じゃなくて、キャンプに行き続けるための仕組みだと思う。
最小限にしたら、見えてきたもの
荷物を減らしていくと、不思議なことが起きた。道具が少ないぶん、道具以外のものに目が向くようになった。
風の音、木の匂い、焚き火の揺れ。道具のセッティングに追われていた頃は気づかなかった、キャンプ場のいろんな「静かさ」が見えるようになった。
ソロキャンプの醍醐味は、豪華な装備でもなく映える写真でもなく、この「何もない時間」にあると僕は思う。持ち物を減らすことは、その時間を取り戻す作業なのかもしれない。
持ち物リストより大切な「自分の基準」
ネットで「ソロキャンプ 持ち物 最小限」と検索すると、たくさんのリストが出てくる。僕も最初はそういうリストを参考にしていた。
でも結局、何が必要で何が不要かは、自分のキャンプスタイルによって全然違う。料理を楽しみたい人はクッカーを増やせばいいし、読書をしたい人はランタンにこだわればいい。
大事なのは「他の人の最小限」を真似することじゃなくて、自分にとっての「これだけあれば満足」を見つけること。そのためには、何度か多めに持っていって、少しずつ引き算していくしかない。
最小限は人から教わるものじゃなくて、自分で削りながら見つけるもの。その過程自体が、実はけっこう楽しい。
まとめ:軽い荷物が、おふたいむをつくる
ソロキャンプの持ち物を最小限にするのは、節約でもミニマリズムの実践でもない。忙しい毎日の中で「静かに外で過ごす時間」を確保するための、現実的な工夫だ。
準備が軽ければ、出かけるハードルが下がる。荷物が少なければ、設営も撤収も速くなる。道具が減れば、自然と向き合う時間が増える。
引き算のパッキングは、キャンプの話であると同時に、日々の「おふたいむ」の作り方にも通じていると思う。あれもこれもと足し算を続ける毎日の中で、本当に大事なものだけを選ぶ練習。
まずはバッグの中身を広げて、前回使わなかったものを一つだけ外してみてほしい。その一つぶんの軽さが、次のキャンプをもっと自由にしてくれるはずだから。
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